『Brand New 大量生産!』ミリシタにおけるキャラクター量産への取り組み
受講スキル
キャラクターモデラー
セクションリーダー
運営型タイトルのスタッフ
得られる知見
大量生産のノウハウ
運営ノウハウ
チームスタッフへのマインドセット
セッションの内容
『アイドルマスターミリオンライブ!シアターデイズ』は2020年6月29日で3周年を迎えます。 52人のアイドル達が着用できる衣装数は2000着を超え、今も着々と増え続けています。 何故この物量が生産できたのか? キャラクターモデルの仕様からこれまで運営チームで取り組んできた事などをご紹介しようと思います。
https://cedec.cesa.or.jp/2020/session/detail/s5e69b8ae4d23d
“カワイイ”が正義! 「ミリシタ」におけるキャラクター量産の取り組みとクオリティアップへの道とは:GameWatch
まずはミリシタとチーム状況の説明から始まりました
既にミリシタには3000着もの衣装が実装されており、月平均100着以上に衣装が追加されているそうです。
新規衣装はおよそ半年前から企画がスタートするそうです。 モデル1体当たり3~5週製作にかかります。
モデルには厳格なレギュレーションが決められています
また家庭用アイマスから継承された使用も複数あったことが紹介されました。
ただし、表情については従来のボーン制御から、ミリシタでは完全なブレンドシェイプに切り替えが行われました。
というのはボーン制御だとワークフローが複雑になってしまうのに加えて、データ容量が増えてしまう問題があったそうです。
さらに家庭用から継承された「ソウルシステム」について紹介が行われました。
ソウルシステムとはパラメータの入力のみで各アイドルの身長や体形へ自動変換ができる仕組みです。
このシステムにより1つの3Dデータを修正するだけで修正が完了するため、全員分の修正をしなくてよいという利点があります。
ほぼすべての衣装に対してソウルシステムの仕組みが導入されているそうですが
一部の特定のアイドルしか着ない様な衣装に対しては、処理負荷軽減のためにソウル機能をカットすることがあるそうです。
ただし、頭に関しては衣装分独立した頭データが存在するそうです。
これは家庭用のアクセサリを実機で合体させる仕組みだと、モバイル端末ではパフォーマンスが出ないためこの仕組みになっているそうです。
そのため、現在では2000を超える頭データが存在するそうです。
次にモデルのチェック体制についての説明が行われました。
各セクションのリーダーがチェックを行うのですが、管理する側がボトルネックにならないようにという理由と
次期リーダーの育成のため、監修は分散して行っているそうです。
クオリティに迷ったときに何を判断基準にするか?という問いに対して開発チームでは「カワイイが正義」としているようです。
最高確認会とは「前回の最高を超えていく会」
MVに関わる全員が参加してクオリティのチェックをするレビュー会です。
カワイイを超えているか?という観点でレビューが行われているそうです。
途中から参加した開発メンバーも、お客さんの熱量を知るためにリアルライブに1度は参加するようにしているそうです。
この施策により、お客さんの熱量を直に感じることができ、仕事への責任感が生まれるそうです。
次にバグとの戦いについて紹介が行われました。
コンシューマタイトルと違って、運用型タイトルはバグ対応・モデル量産・新規仕様実装を同時にこなさなければならないという問題があります。
何か対策を打たないとバグ対応のみで工数を使い切ってしまうので、バグ報告の質を上げることを考えたそうです。
そこで、テスターチームと報告の仕方をすり合わせ、かわいさを阻害している症状はバグという方針になったそうです。
またテスト工数を下げる取り組みとして下記が紹介されました。
リリース当初は揺れ骨が52人違ったそうです。そこで体系変更後も揺れ骨の挙動が変わらない仕組みに変えてもらったそうです。
そうすることでテスターは全キャラをテストせず1キャラだけチェックすればよくなるので、テスト工数の削減につながったそうです。
仕様の決め方についても紹介が行われました
1つを決めると52倍になって返ってくる法則と呼ばれ、1キャラに対して仕様変更や機能追加を行ってしまうととんでもない物量になって返ってきてしまうという法則です。
家庭用のころは13人だったので根性で何とかしていたそうですが、52人になるとさすがに根性ではどうしようもなくなったようです
安直に仕様を決めてしまうと膨大な作業量になってしまうため、仕様決めには細心の注意を払っているようです。
企画が考えた仕様書そのまま実行するとコストが高いため、何がやりたいかを明確化して、効率のいいワークフローを考えてから実行に移していたようです。
仕様追加の実例として「マスターランク5」の実例が紹介されました
バグを防ぐために従来のUVをほぼそのまま流用し、配色についても独自に決めていくのは難しいため
シックで高級感のある色合いに統一したそうです。
単純な色替えだと差別化が弱いため、ティアラを載せることを思いついたそうです。
ティアラがアイマスの象徴的アイテムであることも講演では紹介されました。
なお頭アクセとティアラはトレードオフになっています。
39人ライブはこの当時構想段階でしたが これ以上処理負荷を増やすことはできないためこのような仕様になったそうです。
次にライブリザルト画面変更事例が紹介されました。
リザルト画面は3Dモデルをキャプチャーした画像をレタッチして作られていたため
3D側に修正が入ると2D側も修正が必要というフローになってしまっていました。
衣装はどんどん増えるのでこのままではまずいと感じ、3D化に舵を切ったそうです。
リザルト画面では背景が透けていたり、シチュエーションに応じたモーションが追加されたりといった機能も同時に実装されたそうです。
さらにシェア機能も追加することができ、ユーザーの情報拡散に一役買ったそうです。
理想の仕様変更とは「お客様も開発チームも両方が幸せになること」と仕様変更についての説明を締めくくりました。
最後にレッスンウェア作成ツールについての紹介が行われました。
衣装はどうしても工数がかかってしまうため、スピーディーに衣装を量産するための手法としてこのツールが考案されました。
ツール上ではデカールの位置・回転・スケールが調整でき、配色も変更可能となっています。
モデル自体は既存のものを使っているので、揺れものチェックを省けるという利点もあったようです。
このツールを使ってキャンペーンも行われました。
解像度やフォントライセンスの関係で、ユーザーから投稿された画像をそのまま使うのではなく調整を入れてからゲームには実装しているそうです。
まとめとして運営の教訓・心構えが紹介されました。
最後に製品への愛情を高めることが、クオリティを高め、お客様へのサービスにつながるという言葉で講演を締めくくりました。
昨日のデレステ講演に続きミリシタ講演もユーザーやアイドルのことを第一に考えた熱いチームが作っていることを感じられました。
昨年の講演でも似たようなことを言っていましたが
効率化を図り余裕を生むことがクオリティの向上につながり最終的にはユーザー満足度の向上につながるということが
チーム全体に浸透しているのがうかがえました。
CEDEC最終日となる9月4日は「ビッグデータから紐解くアイドルマスター シャイニーカラーズ分析」という講演があります。
この講演についてはSNS発信不可となっているためブログに載せることはできません。
そのため許可を受けたニュースサイトが記事にしてくれることに期待です。
ID:A2NDAzNDc
3Dキャラ作って、曲を作って数人分であぼ~んってのが、後発メーカーのほとんどがやらかした事
アイマスのこの物量と、アクセとの高精細なマッチングは、昨日今日出来たものじゃ無いし、ふんだんに費用を掛けられる大企業だからこそ!
似たものは出来るけどすぐに飽きられる原因は、正しくこの物量のなせる技だよね
ID:MzNjg2NDE
別記事で上がってるけど小山Pとディレ1らのアケマス開発回想記とかガミPのファミ通インタビューとかの苦闘を思えば
大きくなったなあ! と感嘆せざるを得ない
ちょっとニュアンス違うけど社内ベンチャーで泥くさくやってきてスタッフの度を越えた頑張りでなんとかしてきたものが
大きく育って大企業の有力IPのひとつに育ったとか
これが名誉でなくてなんだ
ID:YwOTY5MzU
一例を挙げれば、ゲームのピコピコBGMを作ってたサウンド屋が、今はオリコン上位常連の作曲家様になってる。でも、当人達はそんなこと自慢にもして無くて、むしろそんな周りの変化を楽しんでる感じ、、、
バンナムのお偉いさんはともかく、現場のスタッフがこのままいつまでも慢心せず、庶民感覚で居てくれる限り、アイマスはこの先も健在だと思う。